
PBRは、株価が企業の純資産に対してどの程度評価されているかを示す代表的な株価指標です。しかし、「PBRが1倍以下なら必ず割安」「PBRが高い企業は買ってはいけない」と単純に判断することはできません。業種、収益性、成長期待、資産の内容によって、適切な見方が変わるためです。本記事では、PBRの英語表記、計算方法、BPS・PER・ROEとの関係、業種別の目安、1倍割れ銘柄や高配当株を見る際の注意点、東証による2026年の要請状況、PBR向上をテーマにしたETFやファンドまで、中立的に整理します。
この記事の目次
- PBRとは何か、英語表記と計算方法
- BPS、PER、ROEとの違いと関係
- PBR1倍割れは本当に割安なのか
- 業種別にPBRの目安が異なる理由
- PBRが高い企業、低い企業の特徴
- PBR1倍以下の高配当株を見る注意点
- PBR関連ETF・ファンド・レンディングの違い
- 東証要請の2026年最新状況
- 企業がPBRを上げるための方法
最初に押さえたいポイント
PBR1倍は重要な目安の一つですが、株価の底値や将来の値上がりを保証する基準ではありません。PBRは、同じ業種の企業、過去の推移、ROE、利益成長、財務状態などと組み合わせて確認する必要があります。
PBRとは?株価と1株当たり純資産を比べる指標
PBRとは、株価が1株当たり純資産の何倍で取引されているかを示す指標です。日本語では株価純資産倍率と呼ばれます。
英語の正式表記はPrice Book-value Ratioです。資料によっては「Price-to-Book Ratio」や「Price Book Ratio」と表記される場合もあります。
PBRを利用すると、企業が会計上保有している純資産に対し、株式市場がどの程度の価値を付けているかを確認できます。
PBRの計算式
PBR=株価÷1株当たり純資産(BPS)
PBR=時価総額÷自己資本
例えば、株価が1200円、BPSが1000円の場合、PBRは次のように計算できます。
1200円÷1000円=1.2倍
市場は、この企業の1株当たり純資産1000円に対して、1.2倍に当たる1200円の株価を付けていることになります。
BPSとは?PBRの計算に使う1株当たり純資産
BPSは「Book-value Per Share」の略で、日本語では1株当たり純資産と呼ばれます。
BPS=株主に帰属する純資産÷自己株式を除いた発行済株式数
純資産は、会社が保有する資産から負債などを差し引いた会計上の金額です。ただし、実際に会社を解散した場合、帳簿に記載された金額で全資産を売却できるとは限りません。
不動産や設備の売却価格、在庫の処分価格、退職給付、税金、解散費用などによって、株主が最終的に受け取る金額は変わります。BPSは「理論上の解散価値」と説明されることがありますが、実際の清算価値を保証する数字ではありません。
PBR1倍とはどのような状態?
| PBR | 株価とBPSの関係 | 基本的な見方 |
|---|---|---|
| 1倍 | 株価とBPSが同額 | 市場価値と会計上の純資産が同じ水準 |
| 1倍未満 | 株価がBPSを下回る | 収益性や成長性、資産価値などへの懸念が反映されている場合がある |
| 1倍超 | 株価がBPSを上回る | 純資産を使って利益を生み出す力や成長性が評価されている場合がある |
PBRが1倍を下回ると、株式市場で評価された企業価値が会計上の純資産を下回っている状態になります。
ただし、1倍割れには、単に株価が一時的に売られている場合だけでなく、将来の赤字、資産の減損、低い資本収益性、事業縮小などが予想されている場合もあります。
PBRとPERの違い|純資産を見るか利益を見るか
PERは「Price Earnings Ratio」の略で、日本語では株価収益率と呼ばれます。
| 指標 | 計算式 | 比較するもの | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| PBR | 株価÷BPS | 株価と純資産 | 資産や自己資本に対する市場評価を見る |
| PER | 株価÷EPS | 株価と利益 | 利益に対する株価の水準を見る |
PBRは貸借対照表にある純資産を基準にし、PERは損益計算書から算出される利益を基準にします。
赤字企業ではEPSがマイナスになるため、PERによる比較が難しくなります。一方、PBRも純資産がマイナスの債務超過企業では、通常の割安・割高判断に利用できません。
PBRとROEの関係|PBRが高くなる仕組み
ROEは「Return on Equity」の略で、自己資本を使ってどれだけ利益を生み出したかを示す指標です。
ROE=当期純利益÷自己資本
PBR=PER×ROE
ROEを小数で計算すると、PBR、PER、ROEには理論上の関係があります。例えば、PERが12倍、ROEが10%の場合は、次のようになります。
12倍×0.10=PBR1.2倍
同じPERであれば、ROEが高い企業ほどPBRも高くなります。また、同じROEであれば、将来の成長期待などを示すPERが高い企業ほどPBRも高くなります。
ただし、予想PERと過去実績のROEを組み合わせた場合や、自己資本の計算期間が異なる場合には、計算結果が一致しないことがあります。
PBR1倍以下には、割安な企業と、市場が合理的な理由で低く評価している企業が混在します。その見分け方と業種別の目安を次のページで解説します。



