株式投資の確定申告とは?不要な人、特定口座・NISA・損失・配当の申告方法を解説

株式投資の確定申告をe-Taxで行う方法

国税庁の確定申告書等作成コーナーを利用すると、パソコンやスマートフォンから株式等の譲渡所得や配当所得を入力し、e-Taxで送信できます。

事前に準備する主な書類

  • 特定口座年間取引報告書
  • 一般口座の取引報告書や取引履歴
  • 配当金計算書や支払通知書
  • 過去の損失を繰り越している場合は前年の申告書
  • 給与所得がある場合は源泉徴収票
  • マイナンバーカード
  • 還付を受ける本人名義の口座情報

e-Taxの基本的な入力手順

  1. 国税庁の確定申告書等作成コーナーを開く
  2. 所得税の申告書作成を選択する
  3. 給与、年金など株式以外の所得を入力する
  4. 「株式等の譲渡所得等」を選択する
  5. 特定口座年間取引報告書の内容を入力する
  6. 一般口座がある場合は売却金額や取得費を入力する
  7. 配当を申告する場合は課税方法を選択する
  8. 前年以前の繰越損失を入力する
  9. 住民税に関する事項を確認する
  10. 計算結果を確認し、マイナンバーカードで送信する

証券会社から特定口座年間取引報告書のXMLデータが提供されている場合は、データを読み込めることがあります。対応方法は証券会社や申告する年分によって異なります。

特定口座年間取引報告書の見方

年間取引報告書では、主に次の項目を確認します。

項目内容
譲渡の対価の額年間の売却金額
取得費及び譲渡に要した費用の額等購入代金や売却手数料など
差引金額年間の利益または損失
源泉徴収税額証券会社が天引きした所得税等
株式等譲渡所得割額証券会社が天引きした住民税
配当等の額特定口座へ受け入れた配当など

同じ証券会社でも複数の口座がある場合や、年の途中で証券会社を変更した場合は、必要な年間取引報告書がすべてそろっているか確認してください。

株式投資の確定申告が国民健康保険料へ与える影響

国民健康保険料の所得割は、前年の所得を基に計算されます。源泉徴収ありの特定口座や一定の上場株式の配当を申告不要とした場合、その所得は通常、国民健康保険料の算定対象となる所得へ加えられません。

一方、確定申告で上場株式の利益や配当を申告すると、自治体が保険料を計算する際の所得へ含まれる場合があります。

申告によって影響する可能性がある制度

  • 国民健康保険料・国民健康保険税
  • 後期高齢者医療保険料
  • 介護保険料
  • 医療費の自己負担割合
  • 住民税の非課税判定
  • 配偶者控除や扶養控除
  • 保育料や各種給付などの行政サービス

税金の還付が受けられても、保険料の増額が還付額を上回る可能性があります。特に国民健康保険へ加入している人や、所得に応じた行政サービスを利用している人は、申告前に全体の影響を確認することが重要です。

所得税と住民税で別の課税方法は選べない

以前は、上場株式等の配当や源泉徴収ありの譲渡所得について、所得税では申告し、住民税では申告不要とする異なる課税方式を選べる制度がありました。

しかし、2024年度の個人住民税から課税方式が統一され、所得税の確定申告で選択した方法が住民税にも適用されます。

そのため、所得税の還付を受けるために配当や譲渡所得を申告しながら、住民税だけ申告不要として国民健康保険料への影響を避ける方法は、現在は利用できません。

確定申告をした方がよいか判断する手順

  1. 利用している口座が源泉徴収ありか確認する
  2. すべての証券会社の年間損益を集計する
  3. 過去3年以内の繰越損失を確認する
  4. 配当を申告不要・総合課税・分離課税のどれにするか比較する
  5. 所得税と住民税の増減を試算する
  6. 国民健康保険料や扶養判定への影響を確認する
  7. 還付額と保険料などの増加額を比較する

株式投資の確定申告でよくある間違い

  • 20万円以下なら住民税も必ず申告不要だと思う
  • 売却金額全体を利益として申告する
  • NISAの損失を特定口座の利益から差し引く
  • 上場株式の損失を給与所得から差し引く
  • 損失が出た年に申告せず、翌年から繰越控除を利用しようとする
  • 外国株の配当にも国内株と同じ配当控除を適用する
  • パソコンや通信費を全額経費として計上する
  • 税金の還付だけを見て国民健康保険料の影響を確認しない
  • NISA株式の配当受取方法を確認していない

まとめ|口座の種類と申告後の影響を確認する

株式投資の利益には、原則として20.315%の税金がかかります。特定口座の源泉徴収ありでは、証券会社が税金を天引きするため、通常は確定申告が不要です。

特定口座の源泉徴収なしや一般口座で利益が出た場合は、給与所得者の20万円以下に関する例外などを除き、原則として確定申告が必要です。

損失が出た場合は、ほかの上場株式の利益や一定の配当との損益通算、翌年以後3年間の繰越控除を利用できる可能性があります。ただし、損失が出た年から継続して確定申告を行う必要があります。

NISA口座の利益は原則非課税ですが、NISAの損失は課税口座と損益通算できません。上場株式の配当を非課税で受け取るには、受取方式にも注意が必要です。

配当控除や損益通算によって所得税が還付されても、国民健康保険料、扶養、住民税の非課税判定などへ影響する場合があります。確定申告をするかどうかは、税金だけでなく、社会保険料や行政サービスを含めて判断することが重要です。

税務・投資に関する注意事項

本記事は株式投資の税制に関する一般的な情報を提供するものであり、個別の申告結果や税額を保証するものではありません。口座の種類、所得、家族構成、居住する自治体などによって取扱いが異なります。実際の申告では、国税庁の最新資料、証券会社の年間取引報告書、自治体の案内を確認し、必要に応じて税務署や税理士へ相談してください。

<参考サイト>国税庁 / e-Tax / 金融庁 / 総務省 / 横浜市 / 川崎市 / 岡山市 / さいたま市