
現物取引とは、自分が証券口座に入金した資金で株式を購入し、保有している株式を売却する基本的な取引方法です。信用取引のように証券会社から資金や株式を借りないため、追証や買方金利は発生しません。一方、同じ資金で同一銘柄を1日に繰り返し売買すると差金決済に該当する場合があり、空売りも原則としてできません。本記事では、現物取引の仕組み、信用取引との違い、デイトレードの回数、手数料、メリット・デメリット、税金まで、2026年7月28日時点の公表情報を基にわかりやすく解説します。

この記事の目次
- 株式の現物取引とは何か
- 現物取引と信用取引の違い
- 現物取引の具体的なやり方
- 1日に同じ銘柄を何回売買できるか
- 現物取引によるデイトレードの注意点
- 差金決済に該当する取引例
- 現物取引で空売りができない理由
- 売買手数料と税金の仕組み
- メリット・デメリットと初心者の注意点
※本記事は株式取引に関する一般的な情報提供を目的としており、特定銘柄の売買や特定の証券会社の利用を推奨するものではありません。株式には価格変動や上場廃止などによる損失の可能性があります。手数料、注文方法、買付余力の計算、取引制限は証券会社によって異なるため、実際の注文前に最新の取引ルールをご確認ください。
現物取引とは? 自分の資金で株式を売買する方法
「現物取引とは株の何をする取引か」を簡単に説明
現物取引とは、株式の買付代金を自分の資金で支払い、実際に保有している株式を売却する取引です。
例えば、証券口座へ50万円を入金し、1株5,000円の株式を100株購入すると、買付金額は50万円です。株価が5,500円になった後に100株を売却すれば、手数料や税金を考慮する前の利益は5万円となります。
反対に、株価が4,500円まで下落して売却した場合は、5万円の損失です。売却せず保有を続けている間は評価損となりますが、企業の経営状況や上場状況によっては株価が大きく下落することもあります。
通常の株式売買では、買う側が買付代金の全額を用意し、売る側が売却する株式を用意します。資金や株式を証券会社から借りる信用取引とは、この点が大きく異なります。
購入した株式は証券口座で電子的に管理される
現在の上場株式は、紙の株券を自宅で保管する仕組みではありません。購入した株式は、証券保管振替機構と証券会社などの口座を通じて電子的に管理されます。
権利付き最終日まで現物株を保有し、企業が定める条件を満たすと、配当金、株主優待、株主総会での議決権などの株主権を取得できる場合があります。
株主優待はすべての上場会社が実施している制度ではなく、内容の変更や廃止もあります。配当金についても、企業の業績や方針によって支払われない場合があります。
日本株の受渡日は原則としてT+2
株式の売買注文が成立した日を約定日といいます。日本株の普通取引は、2026年7月28日時点で原則として約定日の2営業日後に決済するT+2です。
月曜日に売買が成立し、その間に祝日がない場合、通常は水曜日が受渡日になります。土日祝日などの市場休業日は営業日に含まれません。
T+1への短縮化について検討は行われていますが、2026年7月28日時点の日本株の普通取引はT+2です。
現物取引と信用取引の違い
資金や株式を借りるかどうかが最大の違い
現物取引と信用取引の違いは、取引に必要な資金や株式を自分で用意するか、証券会社から借りるかという点です。
| 比較項目 | 現物取引 | 信用取引 |
|---|---|---|
| 購入資金 | 原則として全額を用意 | 保証金を担保に資金を借りる |
| 保有していない株の売却 | 原則不可 | 売建可能銘柄なら可能 |
| レバレッジ | 原則なし | 保証金を超える取引が可能 |
| 返済期限 | 原則なし | 取引区分ごとに設定 |
| 保有中の金利 | 原則なし | 信用買いでは買方金利が発生 |
| 追証 | なし | 保証金率低下で発生する場合あり |
| 株主としての権利 | 条件を満たせば取得可能 | 買建玉だけでは原則取得不可 |
初心者には現物取引が必ず安全とは限らない
現物取引には追証がなく、通常は購入代金を超える損失が生じないため、信用取引より仕組みを理解しやすい面があります。
しかし、現物取引でも損失がなくなるわけではありません。購入した会社が経営破綻したり上場廃止になったりすれば、株式の価値が大きく下がる可能性があります。
「現物だから放置しても安全」「長く持てば必ず値上がりする」とは限りません。企業の事業内容、業績、財務状況、投資金額を確認する必要があります。
現物取引のメリット
追証が発生しない
現物取引では委託保証金を使わないため、信用取引のような追証は発生しません。株価が下落しても、証券会社から保証金の追加差し入れを求められる仕組みではありません。
ただし、買付代金の不足や売却できる株数を超えた注文など、口座内で不足金が発生する別の問題はあり得ます。
原則として保有期限がない
現物株には、制度信用取引のような6か月の返済期限はありません。上場が続き、証券会社で保有できる限り、投資者自身の判断で保有を継続できます。
企業の成長や配当を長期的に期待する取引とも組み合わせやすい方法です。ただし、長期保有によって利益が保証されるわけではありません。
信用買いのような金利がかからない
現物取引では購入資金を借りないため、信用買いで発生する買方金利は原則としてかかりません。
保有期間に応じて借入金利が増える仕組みではないため、長期間保有する場合のコストを把握しやすい点が特徴です。
株主としての権利を取得できる
権利付き最終日まで現物株を保有し、企業が定める条件を満たすと、配当金や株主優待を受け取れる場合があります。また、議決権を持つ株式であれば、株主総会での議決権を取得できます。
信用買いの建玉だけでは、通常は株主名簿上の株主にならないため、これらの権利を直接取得できません。
現物取引のデメリット
保有資金の範囲内でしか購入できない
現物取引では、原則として買付代金の全額が必要です。50万円の資金で100万円分の株式を購入することはできません。
レバレッジによる損失拡大を避けやすい反面、信用取引より資金効率が低くなる場合があります。
株価下落を利益にする空売りができない
現物取引では、保有している株式だけを売却するのが基本です。保有していない株式を先に売り、値下がり後に買い戻す空売りは、通常の現物取引ではできません。
空売りを行うには、信用取引口座などを開設し、証券会社から売却する株式を借りる必要があります。売建できる銘柄や数量には制限があります。
同じ資金による同一銘柄の回転売買に制限がある
現物取引でもデイトレードはできますが、同一受渡日に同じ資金を使って同一銘柄を繰り返し売買すると、差金決済に該当する場合があります。
買付余力として金額が表示されていても、当日に売却した同一銘柄の代金を、再び同じ銘柄の買付代金へ使用できない場合があります。
現物取引は1日1回までという意味ではありません。ただし、注文の順番と資金の使い方を間違えると、次の売買ができなくなることがあります。


