
引成注文が約定しないのはなぜ?
引成注文は成行注文の一種ですが、成立が保証されているわけではありません。主な原因は次のとおりです。
引け値が成立しなかった
引成注文は、引けの板寄せで売買が成立することを前提としています。売り注文または買い注文のどちらか一方しかないなど、引けで値段が成立しなかった場合、引成注文は約定せず失効します。
ザラバ中に成立した最後の価格が、そのまま終値として扱われる「ザラバ引け」になった場合も、引けの板寄せに限定された注文は約定しません。
ストップ高・ストップ安で注文が偏った
ストップ高やストップ安では、買い注文または売り注文が大きく偏ることがあります。一定の条件を満たせばストップ配分が行われますが、すべての注文が約定するとは限りません。
取引所から各証券会社へ配分された後、証券会社の社内ルールに基づいて顧客へ割り当てられるため、引成注文を出していても配分を受けられない場合があります。
前引けで失効し、後場へ引き継がれなかった
前場の引けを対象とする引成注文は、前引けで成立しなければ失効し、後場へ引き継がれないのが一般的です。
大引けでの売買を希望している場合は、注文確認画面に「大引け」「後場引け」などと表示されているか確認してください。
注文受付時間に間に合わなかった
証券会社の注文システムには、取引所とは別の受付時刻があります。15時30分の直前に操作しても、通信時間や社内処理によって市場への発注が間に合わない可能性があります。
クロージング・オークション中の注文を受け付けるか、何時まで訂正・取消しが可能かは証券会社によって異なります。
買付余力や信用取引の余力が不足していた
成行買いでは、実際の約定価格が事前に確定していません。そのため、証券会社は一般的に、制限値幅の上限などを基に買付余力を拘束します。
現在値で計算すれば資金が足りる場合でも、成行注文に必要な買付余力が不足し、注文自体が受け付けられないことがあります。信用取引では委託保証金や建余力も必要です。
寄り成り注文と引成注文の違い
寄成注文は寄り付きで執行し、引成注文は引けで執行する注文です。どちらも価格を指定しない成行注文ですが、執行される時間が異なります。
| 注文方法 | 執行される場面 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 寄成注文 | 前場または後場の寄り付き | 始値での売買を優先したい |
| 引成注文 | 前場または後場の引け | 終値での売買を優先したい |
前場寄り付き前に出した寄成注文は、原則として9時の寄り付きで執行されます。すでに寄り付きの値段が決定した後に出しても、その寄り付きには参加できません。
前場の寄り付きで値段が付かない場合に後場へ持ち越されるかどうかなど、細かな取扱いは市場と証券会社のルールによって異なります。
不成注文とは?読み方は「ふなりちゅうもん」
不成注文とは、ザラバ中は指値注文として執行し、引けまでに約定しなかった数量を、引けで成行注文へ変更する注文です。「指値できず引成行」と説明されることもあります。
たとえば、現在値が1,000円の株に対して、990円の買い不成注文を出した場合、引けまでは990円以下になれば指値で約定します。引けまで約定しなかった場合は、990円という上限を外し、引けの成行買いとして執行されます。
一部だけ指値で約定した場合は、通常、残った未約定株数が引けで成行注文へ変更されます。
引成注文と不成注文の違い
| 比較項目 | 引成注文 | 不成注文 |
|---|---|---|
| ザラバ中 | 執行されない | 指値注文として執行される |
| 引け | 最初から成行で執行 | 未約定分を成行へ変更 |
| 価格指定 | なし | ザラバ中の指値を指定する |
| 向いている場面 | 引けでのみ売買したい | 希望価格を優先しつつ、最後は成立も狙いたい |
大引不成注文・大引け不成注文とは?
大引不成注文とは、大引けまでは指値注文として執行し、成立しなかった数量を大引けで成行注文へ変更する注文です。「大引け不成注文」と呼ばれることもあります。
通常の不成注文は、前場中に発注すると前引けで成行に変更され、その日の後場へ持ち越されない場合があります。これに対し、大引不成注文は、前場で指値が成立しなくても注文を後場へ引き継ぎ、最終的に大引けで成行へ変更します。
大引不成注文はすべての証券会社が提供しているわけではありません。取扱いがない証券会社では、後場に入ってから不成注文を出すなど、別の対応が必要です。
指成り注文・指成注文とは?
「指成り注文」「指成注文」という言葉は、一般に、最初は指値注文として出し、成立しなければ所定の引けで成行に切り替える注文を表すものとして使われることがあります。
国内上場株式の注文画面では、「不成」「指値できず引成行」などと表示されることが多く、証券会社や取引商品によって名称が統一されているわけではありません。
注文画面に「指成」と表示されている場合は、次の点を確認してください。
- 前引けで成行へ切り替わるのか
- 大引けまで指値が継続するのか
- 一部約定した場合、残数が成行になるのか
- 引け値が成立しない場合は失効するのか
引成注文のメリット
終値で売買しやすい
引成注文は、引けの価格を決める板寄せで執行されるため、当日の終値で売買したい場合に適しています。
投資信託や指数、日足チャートなどで終値を基準に判断する場合も、取引価格と終値のずれを抑えやすくなります。
取引終了間際まで画面を見続ける必要がない
あらかじめ引成注文を出しておけば、15時30分の直前に手動で成行注文を出す必要がありません。仕事や外出などで相場を見続けられないときにも利用できます。
ザラバ中の値動きでは約定しない
引成注文は、ザラバ中の一時的な値動きでは約定しません。「途中の価格では売買せず、引けだけに参加したい」という目的を明確にできます。
クロス取引で売りと買いの価格をそろえやすい
同じ銘柄の買い注文と売り注文を、同じ引けの板寄せへ出すと、両方が約定した場合は同じ引け値になります。そのため、株主優待のつなぎ売りや信用期日の乗り換えなどで利用されることがあります。
ただし、両方の約定、信用売りの在庫、株主優待の取得、取引コストを保証する注文方法ではありません。
引成注文のデメリット
約定価格を指定できない
引成注文は成行注文なので、いくらで約定するかを事前に指定できません。引け直前に大きな材料が発表された場合や、注文が一方向へ集中した場合は、予想より高い価格で買ったり、安い価格で売ったりする可能性があります。
引け値が成立しなければ約定しない
引成注文は通常の成行注文より執行機会が限定されています。引けの板寄せで売買が成立しなければ、ザラバ中に相手注文があったとしても約定しません。
前引けで失効することがある
大引けで売買するつもりでも、前場中に出した注文が前引け条件になっていれば、11時30分に執行されます。約定しなければ失効し、後場には残りません。
急な方針変更に対応しにくい
取消しは可能でも、大引け直前は操作や通信が間に合わないことがあります。引け間際に決算速報やニュースが出ても、取消しを完了できるとは限りません。
引成注文の価格リスクは、成行注文の仕組みを理解すると見えてきます。クロス取引での重要な注意点も次のページで確認してください。



