引成注文とは?やり方・時間・約定しない理由・不成注文との違いをわかりやすく解説

引成注文は、株式市場の「引け」で成行注文を執行する注文方法です。終値で売買したいときに便利ですが、価格を指定できず、引け値が成立しなければ約定しないこともあります。また、不成注文、寄成注文、大引不成注文、指成り注文など、名前の似た注文方法との違いを理解しておかなければ、意図しない時間に注文が失効する可能性があります。本記事では、引成注文の仕組み、やり方、受付時間、キャンセル方法、メリット・デメリット、クロス取引で使う際の注意点まで詳しく解説します。

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この記事の目次

  • 引成注文と引け注文の基本的な意味
  • 東証の取引時間と引成注文が執行される時間
  • 引成注文のやり方とキャンセル方法
  • 引成注文が約定しない主な理由
  • 寄成・不成・大引不成・指成りとの違い
  • 引成注文のメリットとデメリット
  • 成行注文が想定より高くなる仕組み
  • クロス取引で引成注文を使う際の注意点
  • 現引注文との違い

引成注文とは?読み方は「ひけなりちゅうもん」

引成注文とは、前場または後場の取引終了時である「引け」に限り、成行注文として執行する条件を付けた注文です。「引け成り注文」「引成行注文」と表記される場合もあります。

通常の成行注文は、市場へ発注された後、売買が成立できる状態になればその時点で執行されます。一方、引成注文はザラバ中には約定せず、前引けまたは大引けの価格を決める板寄せに参加します。

日本取引所グループでは、前引けまたは大引けに執行されることを条件とした注文を「引条件注文」としています。引条件注文には、主に次の2種類があります。

  • 引成:引けに成行注文として執行する
  • 引指:引けに指定した価格の指値注文として執行する

引け注文とは?引成注文だけを指す言葉ではない

引け注文とは、前引けまたは大引けで執行する条件を付けた注文の総称です。一般的には、引成注文と引指注文が含まれます。

「引けで売りたい」という場合でも、価格を指定せず成立を優先するなら引成、一定の価格以上で売りたいなら引指というように使い分けます。

注文方法執行される時間価格の指定特徴
引成注文前引けまたは大引け指定しない引けでの成立を優先する
引指注文前引けまたは大引け指定する条件に合う引け値でなければ約定しない

東証の引成注文は何時に執行される?

東京証券取引所の内国株式の立会時間は、2026年7月29日時点で次のとおりです。

  • 前場:9時から11時30分まで
  • 後場:12時30分から15時30分まで

前場の最後を前引け、後場の最後を大引けと呼びます。大引けに出した引成注文は、原則として15時30分の終値を決める板寄せで執行されます。

15時25分から15時30分はクロージング・オークション

東証では、後場のザラバ取引が15時25分に終了し、その後15時30分までの5分間にクロージング・オークションが行われます。

この5分間は「プレ・クロージング」と呼ばれる注文受付時間です。売買は成立しませんが、新しい注文の受付や、既存注文の変更・取消しが行われ、15時30分に大引けの板寄せが実施されます。

大引けを条件とする引成注文や、ザラバ中に成立しなかった不成注文は、クロージング・オークションの板へ取り込まれます。ただし、証券会社側の注文締切は取引所の時刻より早い場合があります。

前場中に出した引成注文は前引けになることがある

証券会社の一般的な取扱いでは、前場の引け前に出した引成注文は、11時30分の前引けにのみ有効です。前引けで約定しなかった注文は失効し、後場へ自動的に引き継がれないことがあります。

前場終了後から後場の引け前に出した引成注文は、15時30分の大引けに執行されます。証券会社によっては注文画面で「前場引け」「大引け」を選択できることもあるため、発注前に執行時刻を確認しましょう。

引成注文のやり方

表示名や操作方法は証券会社によって異なりますが、基本的な手順は次のとおりです。

  1. 証券口座へログインする
  2. 売買する銘柄の注文画面を開く
  3. 現物取引または信用取引を選択する
  4. 買い・売り、新規・返済の区分を選ぶ
  5. 株数を入力する
  6. 価格欄で「成行」を選ぶ
  7. 執行条件で「引成」または「引け」を選ぶ
  8. 執行される市場と時間を確認する
  9. 注文確認画面を確認して発注する
  10. 注文照会で受付状態と約定結果を確認する

証券会社によっては、価格欄を「成行」にした後、別のプルダウンメニューから「引成」を選択します。「引成」が見当たらない場合は、注文市場、取引商品、注文受付時間、利用しているアプリの対応状況を確認してください。

引成注文はキャンセルできる?

引成注文は、まだ約定しておらず、取引所と証券会社が取消しを受け付けている時間内であれば、原則としてキャンセルできます。

東証のプレ・クロージング中は、取引所制度上、新規注文の発注だけでなく既存注文の変更や取消しも可能です。ただし、次のような場合はキャンセルできません。

  • すでに大引けの板寄せが始まり、注文が約定した
  • 証券会社の取消受付時刻を過ぎた
  • 注文状況が「取消中」のまま板寄せ時刻を迎えた
  • 通信障害やシステム障害で取消注文が受け付けられなかった
  • 比例配分などの処理対象になり、取消不可の状態になった

取消ボタンを押しただけでは、キャンセル完了とは限りません。注文照会で「取消済」「失効」などの状態になっていることを必ず確認してください。

引成なら必ず終値で売買できるとは限りません。約定しない原因と、間違えやすい注文方法の違いは次のページで確認しましょう。