
富裕層という言葉には、法律で統一された年収や資産の基準があるわけではありません。日本では、野村総合研究所が公表する純金融資産1億円以上という分類が広く参照されていますが、海外の調査機関では異なる基準が使われます。本記事では、2026年時点で確認できる最新資料を基に、富裕層の定義、日本に占める割合、年収との違い、資産運用、生活や趣味、富裕層向けサービス、課税強化、合法的な税負担の管理、海外移住まで、中立的に解説します。
この記事の目次
- 富裕層の定義と英語表現
- 2026年時点の富裕層ピラミッド
- 日本における富裕層の割合
- 富裕層の年収と資産の違い
- 富裕層が増えた理由
- 資産運用の投資先と割合
- 生活、趣味、富裕層向けサービス
- 富裕層になるための考え方
- 2026年の課税強化と合法的な対策
- 富裕層の海外移住と税務上の注意点
2026年7月27日時点の重要事項
日本の富裕層について、国が定めた全国共通の認定基準はありません。また、2026年の日本国内の世帯数を示す新しい富裕層ピラミッドは、現時点で公表されていません。国内で確認できる最新の代表的な資料は、野村総合研究所が2025年2月に公表した2023年時点の推計です。
富裕層とは?法律上の統一された定義はない
富裕層とは、多額の金融資産や不動産、事業資産などを保有する個人または世帯を指す一般的な言葉です。ただし、所得税法や金融商品取引法に「資産がいくらなら富裕層」とする共通の定義はありません。
金融機関、調査会社、報道機関によって、次のように判定基準が異なります。
- 預貯金や株式などの金融資産額
- 借入金を差し引いた純金融資産額
- 自宅や投資用不動産を含む総資産額
- 個人または世帯の年収
- 金融機関へ預けている運用資産額
同じ「資産1億円」でも、自宅を含むのか、住宅ローンを差し引くのかによって、富裕層に該当するかが変わる場合があります。
富裕層の英語表現|HNWIとUHNWIの違い
富裕層は英語で、一般的にwealthy individualsやaffluent individualsと表現されます。金融業界や資産運用業界では、次の略語も広く使われます。
| 英語表現 | 略称 | 一般的な意味 |
|---|---|---|
| High-Net-Worth Individual | HNWI | 高額な投資可能資産を持つ個人 |
| Ultra-High-Net-Worth Individual | UHNWI | HNWIの中でも特に資産額が大きい個人 |
| Affluent | なし | 経済的に余裕のある個人や世帯 |
Capgeminiの「World Wealth Report 2026」では、主な自宅、収集品、耐久消費財などを除いた投資可能資産が100万ドル以上の個人をHNWIと定義しています。このうち、3000万ドル以上をUHNWIとしています。
この海外基準は個人単位であり、円相場によって円換算額も変動します。世帯単位の純金融資産を使う野村総合研究所の分類とは、直接比較できません。
富裕層ピラミッド2026|最新の国内推計は2023年時点
野村総合研究所は、預貯金、株式、債券、投資信託、一時払い生命保険、年金保険などの金融資産から負債を差し引いた純金融資産保有額を基に、日本の世帯を5階層に分類しています。
| 資産階層 | 純金融資産の基準 | 2023年の世帯数 | 純金融資産総額 |
|---|---|---|---|
| 超富裕層 | 5億円以上 | 11.8万世帯 | 135兆円 |
| 富裕層 | 1億円以上5億円未満 | 153.5万世帯 | 334兆円 |
| 準富裕層 | 5000万円以上1億円未満 | 403.9万世帯 | 333兆円 |
| アッパーマス層 | 3000万円以上5000万円未満 | 576.5万世帯 | 282兆円 |
| マス層 | 3000万円未満 | 4424.7万世帯 | 711兆円 |
ここでいう金融資産には、原則として自宅や投資用不動産の価値は含まれません。一方、住宅購入などに伴う負債は純金融資産を計算する際に差し引かれます。
そのため、高額な不動産を保有していても金融資産が少ない世帯は、この分類では富裕層に入らない場合があります。
日本の富裕層の割合は約3%
野村総合研究所の2023年推計では、富裕層153.5万世帯と超富裕層11.8万世帯の合計は165.3万世帯です。
5階層の合計5570.4万世帯に対する割合を計算すると、富裕層と超富裕層の合計は約2.97%となります。おおむね100世帯のうち3世帯という割合です。
| 区分 | 世帯数 | 全体に占める割合 |
|---|---|---|
| 富裕層 | 153.5万世帯 | 約2.76% |
| 超富裕層 | 11.8万世帯 | 約0.21% |
| 富裕層・超富裕層の合計 | 165.3万世帯 | 約2.97% |
これは個人の人口割合ではなく、野村総合研究所が推計した世帯ベースの割合です。
富裕層の年収はいくら?資産と所得は別のもの
富裕層に該当する年収の共通基準はありません。野村総合研究所の分類は年収ではなく、純金融資産によって判定します。
| 項目 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 年収 | 1年間に得た給与、事業収入など | 給与収入、役員報酬、事業収入 |
| 所得 | 収入から必要経費や給与所得控除などを差し引いた金額 | 給与所得、事業所得、譲渡所得 |
| 金融資産 | 預貯金、株式、債券、投資信託など | 証券口座や預金口座の残高 |
| 純金融資産 | 金融資産から負債を差し引いた金額 | 金融資産1億2000万円、負債2000万円なら1億円 |
年収3000万円でも、住宅ローンや事業借入が多く、金融資産が少なければ、NRI基準の富裕層には該当しません。反対に、退職後で年収が低くても、純金融資産を1億円以上保有していれば富裕層に分類されます。
日本で富裕層が増えた理由
野村総合研究所によると、富裕層・超富裕層は2021年の148.5万世帯から2023年の165.3万世帯へ11.3%増加しました。純金融資産総額は364兆円から469兆円へ28.8%増えています。
主な背景として、次の要因が挙げられています。
- 株式や投資信託の価格上昇
- 円安による外貨建て資産の円換算額の増加
- 準富裕層から富裕層への移行
- 富裕層から超富裕層への移行
- 相続による資産移転
資産価格の上昇で金融資産が1億円を超えたとしても、相場が下落すれば再び1億円を下回る場合があります。富裕層の世帯数は固定されたものではありません。
「いつの間にか富裕層」とは?
野村総合研究所は、従業員持株会、確定拠出年金、NISAなどで保有する資産が株価上昇によって増え、準富裕層から富裕層へ移った会社員世帯を「いつの間にか富裕層」と呼んでいます。
同研究所は、こうした世帯が富裕層以上の1割から2割程度を占めると推察しています。金融資産が増えても、給与収入の範囲内で以前と同じ生活を続ける例が見られるとしています。
富裕層は高級品ばかりを購入しているとは限りません。次のページでは、実際の資産配分、生活、趣味、富裕層向けサービスを整理します。



