
タコ足配当の見分け方|投資信託では5つの項目を確認
投資信託についてタコ足配当の可能性を確認するときは、分配金額だけを見るのではなく、以下を組み合わせて確認することが重要です。
1.取引報告書で普通分配金・特別分配金を確認する
自分が実際に受け取った分配金について最も直接的な確認方法は、証券会社などが提供する取引履歴や分配金の明細です。
「元本払戻金(特別分配金)」と表示されていれば、その部分は自分の個別元本の払い戻しに相当します。
なお、これは購入価格によって変化するため、他人が普通分配金だったとしても自分も普通分配金になるとは限りません。
2.分配後の基準価額だけでなく分配金再投資基準価額を見る
分配型投資信託の成績を比較するときは、通常の基準価額だけでなく分配金再投資基準価額を見る方法があります。
分配金再投資基準価額は、支払われた分配金を再び同じファンドへ投資したものと仮定して計算した指標です。分配によって外へ出た資金を考慮できるため、単純な基準価額だけを見るより運用成果を把握しやすくなります。
3.分配金の原資に関する説明を読む
投資信託の販売用資料や目論見書では、分配金について「計算期間中に発生した収益を超えて支払われる場合がある」と説明されていることがあります。
ただし、この説明があるだけで「そのファンドは常にタコ足配当」と判断することはできません。投資信託の一般的な分配ルールとして記載されている注意事項でもあるためです。
4.分配金を含むトータルリターンを確認する
年間1,000円の分配金を受け取っていても、基準価額が年間2,000円下落していれば、分配金だけを見て投資成果を判断することはできません。
反対に、分配後の基準価額が下がっていても、値上がり益と分配金を合わせたトータルリターンがプラスになっているケースもあります。
「何円もらったか」ではなく、「投資した資産全体がどの程度増減したか」を見ることがポイントです。
5.分配頻度だけで良し悪しを決めない
毎月分配型、隔月分配型、四半期分配型だから必ずタコ足になるわけではありません。一方、分配回数が多ければ、それだけファンドの中から現金を外へ出す機会も増えます。
資産形成を目的とする場合と、生活費などのため定期的に現金を受け取りたい場合では適した商品設計が異なります。
個別株のタコ足配当はどう見分ける?
株式の場合には投資信託の「普通分配金・特別分配金」という考え方はありません。
企業の配当を確認するときは、次のような情報を複数年度にわたって見ることが重要です。
- 1株当たり利益(EPS)
- 配当性向
- 営業キャッシュ・フロー
- フリー・キャッシュ・フロー
- 利益剰余金
- 現金・預金
- 有利子負債
- 過去の配当推移
- 今後の利益予想
配当性向100%超=即タコ足配当ではない
配当性向だけで判断するのも危険です。例えば一時的な減損損失や訴訟関連費用などによって会計上の純利益が急減すると、配当額を変更していなくても配当性向が100%を超える場合があります。
一方で、利益やキャッシュ・フローが長期間低迷しているにもかかわらず、高額な配当を続ければ企業の現金や財務余力が低下する可能性があります。
したがって、1年だけではなく複数年の利益・キャッシュフロー・財務状況を見る必要があります。
赤字なのに配当すること自体が違法とは限らない
「当期赤字なのに配当を出しているから違法なタコ足配当」という理解も正確ではありません。
日本の会社法では、株式会社の剰余金配当には分配可能額による財源規制があります。今期の純利益だけが配当できる金額を決めるわけではなく、それまでに蓄積した剰余金なども関係します。
そのため、当期利益が少ない、あるいは赤字であったとしても、会社法上の分配可能額があり、必要な手続きを満たしていれば配当が行われる場合があります。
逆に、分配可能額を超えて配当することには会社法上の制限があります。
タコ足配当はなぜダメと言われる?4つのデメリット
デメリット1:資産を取り崩していることに気づきにくい
毎月、あるいは数カ月ごとに現金が振り込まれると「運用益が入ってきた」と感じやすくなります。しかし、その中に元本払戻金が含まれていれば、自分が投資した資金の一部が戻ってきているだけという場合があります。
デメリット2:基準価額が下がる
投資信託の分配金は純資産から支払われるため、その金額相当分だけ基準価額を押し下げる要因になります。
これはタコ足かどうかにかかわらず、投資信託の分配そのものに共通する仕組みです。
デメリット3:複利効果を得にくくなる場合がある
運用益をファンド内に残せば、その資金も引き続き運用されます。一方、分配して現金として受け取れば、その資金はファンドから外に出ます。
長期的な資産形成を目的とする場合、分配せず内部で運用を続けるファンドと比べ、分配型は複利効果を活用しにくくなる場合があります。
デメリット4:高い分配金利回りを運用利回りと誤解しやすい
分配金利回り10%と表示されていたとしても、「運用によって毎年10%利益が出ている」という意味ではありません。
日本証券業協会が注意喚起しているように、基準価額が低下することで見かけ上の分配金利回りが上昇する場合もあります。
ではタコ足配当は必ずダメなのか?
元本の払い戻しを伴う分配が、すべての投資家にとって一律に悪いとは言えません。
例えば、資産を長期的に最大化することより、保有資産から定期的に現金を取り出して生活費などに使うことを重視する場合、定期分配という仕組みに一定の利用目的があります。
問題なのは、元本の払い戻しを「運用利益」と誤認したまま投資を続けることです。
自分の目的が「資産を増やすこと」なのか「定期的なキャッシュフローを得ること」なのかを明確にしたうえで判断する必要があります。
タコ足配当を再投資すれば問題ない?
投資信託には、分配金を現金で受け取る「受取型」と、自動的に同じファンドへ投資する「再投資型」があります。
元本払戻金(特別分配金)が発生し、それを再投資した場合、経済的にはいったんファンドから資金が払い出され、その資金で再びファンドを購入する形になります。
したがって、「再投資を選べば特別分配金ではなくなる」という仕組みではありません。
NISAでの再投資には年間投資枠にも注意
日本証券業協会によると、NISAで受け取った投資信託の分配金を再投資する場合、再投資分をNISA枠で買い付けるのか、課税口座で買い付けるのかなどの取り扱いは証券会社によって異なります。
NISA口座で普通分配金を受け取る場合はNISAの非課税メリットがありますが、元本払戻金(特別分配金)はもともと課税対象外です。そのため、特別分配金の部分については「NISAだから非課税になった」というものではありません。
特に誤解されやすいのが有名な高分配ファンドや高配当株です。最後のページでは具体的な商品・企業について、何を確認すればよいのかを公式情報に基づいて整理します。

